ibaシステムによる品質データの自動取得・評価
Aluminium Norf GmbHにおけるTEAS(厚み評価システム)およびPEAS(プロファイル評価システム)
世界最大級のアルミ圧延・製錬工場であるAluminium Norf GmbH(通称Alunorf)では、年間およそ150万トンのアルミ圧延材を出荷しています。同社はiba AGとの協力のもと、2017年および2019年に2つの熱間圧延ラインに品質データの自動取得および処理システムを導入し、成功を収めました。
アルミの熱間圧延においては、製品ごとの詳細な品質データを正確に把握・記録することが不可欠です。このデータは、コイル単位・長さ単位で品質を評価できるように整備される必要があります。
また、機械オペレーターが現在圧延中のストリップに関する品質データをリアルタイムで確認できる環境も重要です。こうした背景から、ibaシステムを用いて**TEAS(Thickness Evaluation and Analysis System)とPEAS(Profile Evaluation and Analysis System)**という2つの基本機能が実装されました。
さらに、算出された主要な品質指標は、後段の品質管理システムに転送・保存され、長期的な分析やアーカイブにも活用されています。これら一連の処理はすべて信頼性が高く、完全に自動化されていることが求められました。
■ ビジネス上の利点
・品質関連のプロセスパラメータを自動で取得・分析・数値化
・機械オペレーターに対する品質データのオンライン提供
・後段システムへの品質指標の自動提供
■ 技術の概要
本システムの中核を担うのは、高速プロセスデータ取得ソフトウェア ibaPDAです。制御装置・測定機器・各種センサーからのデータを時系列で同期して取得します。加えて、製品番号・合金種・ロール識別子といった製品に関する情報も併せて記録されます。
ibaPDAでは、圧延中のストリップの厚み品質や、ロールの偏心が厚みに与える影響などについて、初期的な品質評価およびFFT(高速フーリエ変換)演算をオンラインで実施しています。これらの結果はibaQPanelを通じて製品単位で可視化され、現場のオペレーターにリアルタイムで提供されます。
圧延ストリップ単位で生成されるdatファイルは、データ処理の基盤となります。ibaAnalyzerでは、定義されたアルゴリズムとパラメータに基づいて高分解能データを解析し、必要な品質データを算出します。この際、時間ベースの信号は長さベースの信号に変換されます。
算出された品質データの転送および後段システムへの登録は、ibaDatCoordinatorにより自動で制御されます。万が一、システム間のネットワークに障害が発生した場合でも、ibaDatCoordinatorが補完処理を行い、データの欠損を防ぎます。
「圧延ストリップ単位での測定データの取得と分析により、製品品質の包括的なドキュメンテーションと評価が、リアルタイムおよび履歴ベースの両面で可能になりました。品質スコアの前日評価も、日次で自動的に実施されています。」— ウヴェ・ゴルツニー Aluminium Norf GmbH製品・生産技術部門