すべてのプロセスデータを一元的に可視化

ノベリス社、ibaシステムを採用

スイス拠点での新しいプッシャー型炉の導入を機に、ノベリス社はプロセスデータの収集と分析の標準化に乗り出しました。既存の導入経験、優れたスケーラビリティ、幅広い接続性を評価し、同社はibaシステムを採用。これにより、アルミニウム製造における独自のプロセスインサイトが得られるようになりました。

ノベリス社でのibaシステム導入

「データ評価をもっとシンプルにしたかった」

ノベリスは、世界をリードするフラットロールアルミ製品のメーカーであり、自動車業界や航空業界などに高品質なアルミシートを供給しています。北米、南米、アジア、ヨーロッパに最先端の圧延・リサイクル施設を展開しており、スイス・シエール工場では、鋳造から仕上げまでアルミ製造の全工程を担っています。

同工場で新たにプッシャー炉が導入されたことをきっかけに、設備全体のデータ収集と分析の標準化が検討されました。

「従来もさまざまなデータを取得してはいましたが、それらを統一的なシステムで管理してはいませんでした。評価作業をもっと簡単にしたかったのです。また、炉内で最大30製品を同時に処理しているため、各製品ごとの個別データセットを作ることも課題でした」と、同社プロセスエンジニアのベルナール・カヴァン氏は説明します。

カヴァン氏は長年、同工場の熱間および冷間圧延工程を担当しており、その経験をもとにiba AGのソリューションを推奨しました。「私は長年ibaシステムを使ってきました。彼らの顧客志向にはいつも感心しています。過去のプロジェクトも成功しており、今後の標準にしようと考えたのです」と語ります。

モジュール設計による高い拡張性

ibaシステムは、モジュール式設計により、高解像度のプロセスデータや機械データ、さらには設定情報も収集・記録・評価・処理することが可能です。数十万点の信号を監視する大規模設備から、わずか64点の信号をトラブルシューティングするPLCまで、柔軟に対応できます。

「まず、ibaと一緒にサンプルプロジェクトを当社環境に適合させました。非常にスムーズに進みました。一番の作業は、無数のPLCデータの中から不要な信号を除き、必要なものを整理することでした」とカヴァン氏は述べています。

最終的に約500点の信号を選定し、それらをPDO分析ルールにまとめました。ノベリスでは、データ収集用のibaPDA、長期保存用のibaHD-Serverに加えて、自動処理ツールibaDatCoordinatorも導入。これにより、一度作成した分析ルールを用いて、取得した測定データから重要な数値指標をデータベースに自動抽出できます。

「近いうちに、全プロセスをibaシステムにマッピングできる見通しです。そうすれば、次に2025年に導入予定の炉にも簡単に応用できるでしょう」とカヴァン氏は今後を見据えます。

タイムピリオド機能で得られる深いインサイト

ノベリスにとって大きな利点となっているのがibaシステムの「Time-Periods(タイムピリオド)」機能です。これは、自由に設定できるトリガー条件によって、ibaHD-Serverに記録されたデータを構造化し、対応する製品に紐づけられるものです。タイムピリオドには、補足情報や指標値を追加してオフライン評価することが可能です。

「この機能により、炉のプロセスデータをインゴットIDごとにひもづけて管理できるようになりました。最大30製品が同時に処理される中でも、個別に管理できるのはこの機能のおかげです。後処理として、ibaAnalyzerで各インゴットの分析を行い、プロセスが規定通りであることを確認し、品質を保証しています」とカヴァン氏は言います。

特にノベリスでは、自動車のボディ部品向け製品が多く、トレーサビリティの明確な証明が極めて重要です。さらに、設備の長期的なプロセス制御にも有効です。

「長期分析を行い、そこから統計を導き出せる点も重要です。例えば、加熱時間から炉の漏れを早期に検出でき、そうした異常が材料に影響を及ぼす前に対処できます」とカヴァン氏は続けます。

標準化がもたらす共通の議論基盤

もうひとつ重要な成果は、エネルギー関連の数値に対するインサイトです。

ibaシステムの多様なPLC接続機能により、エネルギー、ガス、電力メーターのデータもプロセスデータと一緒に取得し、製品に結びつけられます」とカヴァン氏は説明します。

こうしたデータから得られる知見は、さまざまな部門にとって有用です。プロセスエンジニアはプロセスの逸脱を検知して最適化を行い、品質管理者は統計データを通じて製品品質を確認できます。特に、必要に応じて生データまでドリルダウンできる機能は非常に貴重です。

「今では全員が同じシステムを使えるようになりました。誰でもibaAnalyzerでデータを確認できます。将来的にはさらにibaシステムを標準として展開していく予定です」とカヴァン氏は語ります。分析方法の標準化はこうした場面でも役立ちます。

「今後は、ibaシステムをさらに標準化していく計画です。」―ルナール・カヴァン ノベリス社プロセスエンジニア

タイムピリオド機能を活用することで、ノベリスは最大30製品を同時処理しながらも、各インゴットの個別データファイルを作成することに成功しました。

 

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